
アダムとイブ
俺は天界に住む天使。今から地上に行かなければならない。俺は人間が大嫌いで、出来れば人間などと関わりたくなどない。しかし、神様からの大事な命令だ。気が向かないが従わなければならない。
神様は、神の意志に背いてばかりいる人間たちを一度滅ぼすことに決めた。そして、男女ひとりずつを無作為に選び、その二人を新しいアダムとイブにして、人間の歴史を一からやり直すことにしたのだ。俺は、その新しいアダムとイブにそのことを伝えに行くという役を授かった。
「キャー、あんたってもしかして天使? ヤダー、可愛い~」
これだから人間は嫌いだ。本当に馬鹿丸出しではないか。しかし俺は仕方なく神様からの伝言を伝えた。
「え~、あたしが選ばれたの? 超ラッキー! で、何? そのアダムとイブって」
思わず頭を抱えた。あまりにも酷すぎる。いくら無作為に選んだといっても、こんな馬鹿は止めておいた方がいい。
でも、神様が決めたことだ。俺などが口出しすることなどできない。
「とりあえず、神様からの話は伝えたからな!」
「え~! もう帰っちゃうの? 天使ちゃん、また来てね~」
俺は、伝言だけを伝えて、すぐにその場を離れた。ゆっくりしている暇はない。まだ仕事が残っている。
「本当に面倒くさいな」
そう思いながら、俺はもう一人の人間、新しいイブになる女のところへ向かった。