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色褪せない星新一ワールド!時代を見ると本当の凄さがわかる

time 2015/12/19

色褪せない星新一ワールド!時代を見ると本当の凄さがわかる

 1001編達成、休筆宣言からはや30年以上経た今でも、新鮮な光を放つ星新一氏のショートショート。「古さを感じさせない」ことのすごさを実感するため、執筆された時期を探ってみました。

 星新一という人

 星新一さんを知らない人のために簡単に説明するとすれば「ショートショートの神様」と呼ばれているすごい人、と言うしかありません。「星新一」で検索してみて下さい。ほぼ全てのサイトに「ショートショートの神様」と書かれているはずです。正真正銘の神様です。

 1001作(以上?)という膨大な量のハイクォリティーなショートショートを発表し、日本にショートショートという分野を定着させ、ショートショートブームを巻き起こし、最後までブームのトップを走り、………説明し始めると止まらなくなります。
 自分にとっての「神」について話すと熱くなりすぎて止まらなくなるのは、人間の性でしょうか。

  私には冷静に説明することができそうにないので、冷静さに定評のあるWikipediaへのリンクを貼っておきます(Wikipedia星新一の項目)。ただ、見るときは覚悟しておいて下さい。長いです。ショートショート10作分(は大げさですが)くらいの文章量。「Wikipediaの説明文が長い=すごい人」なので、これだけでもすごい人だとわかります。

星新一が活躍した時代

 星新一さんがショートショートを発表していたのは、1957年(昭和32年)〜1983年(昭和58年)、どっぷり昭和の人です。 
 1001編を達成した1983年は、桑田、清原のKKコンビが一年生で大活躍し、PL高校が夏の甲子園を制した年です。
 それなのに、星作品は今読んでも新鮮で、平成生まれの人が読んでも古さを感じさせないのです。

 その作品群がいつ執筆されたのか知るために、作品集の刊行年をWikipediaから引用してみます。ショートショート集の刊行年なので、実際に発表されたのはそれ以前ということになります。

人造美人(1961年(昭和36年))
ようこそ地球さん(1961年(昭和36年))
悪魔のいる天国(1961年(昭和36年))
ボンボンと悪夢(1962年(昭和37年))
宇宙のあいさつ(1963年(昭和38年))
気まぐれ指数(1963年(昭和38年))
妖精配給会社(1964年(昭和39年))
おせっかいな神々(1965年(昭和40年))
ノックの音が(1965年(昭和40年))
エヌ氏の遊園地(1966年(昭和41年))
黒い光(1966年(昭和41年))
気まぐれロボット(1966年(昭和41年))
妄想銀行(1967年(昭和42年))
盗賊会社(1968年(昭和43年))
マイ国家(1968年(昭和43年))
午後の恐竜(1968年(昭和43年))
ひとにぎりの未来(1969年(昭和44年))
 Wikipediaより(*一部省略)

  まだまだ続きますが、この辺りで一息つきましょう。
 当然ですが、星新一ファンにはおなじみのタイトルが並んでいます。ここまで来ても、まだ1960年代です。少し驚きました。私が星作品を読みまくったのは1980年代なので、その時点ですでに20年経っていた作品がこれだけあったのは意外でした。数だけではありません。有名な作品の多くがこの中に含まれています。

ボッコちゃん(1971年(昭和46年))
『人造美人』『ようこそ地球さん』の中から19編を選び、それにほかの短編集に収録の作品を加えて50編にまとめた自選短編集。
ようこそ地球さん(1972年(昭和47年))
自選集である『ボッコちゃん』に収録しなかった、『人造美人』と『ようこそ地球さん』(1961年(昭和36年))の残りの42篇を集めた短編集。
 Wikipediaより抜粋

 この有名な作品集も1960年代の作品を集めものです。もし星作品を読んだことがない人に一冊薦めるとしたら、私は「ボッコちゃん」を選びます。今でも新鮮で古さを感じないと自信を持って推薦できます。それが1960年代の作品なのです。

  おみそれ社会、だれかさんの悪夢、未来いそっぷ、なりそこない王子など、1970年、71年刊行の作品集に収録されている話の多くも1960年代に発表された作品……。

 1960年代ですよ。

「巨人・大鵬・玉子焼き」の時代ですよ(若い人は知らないか?)。
(第一回)東京オリンピック開催、東海道新幹線開通の頃ですよ。

文学界の出来事

 当時の文学界の状況と比べてみましょう。
 この時期の文学界を語る上で、絶対にはずせない大事件。

・1968年(昭和43年)川端康成ノーベル文学賞受賞。
・1970年(昭和45年)三島由紀夫割腹自殺。
(川端康成の自殺は1972年)

 1960年代は、川端康成、三島由紀夫という伝説の人が活躍していた時代なのです。
(この頃執筆活動していた「作家:石原慎太郎」も伝説の人かも?)

  ミスティーで言えば、アガサ・クリスティーやエラリー・クイーンがまだ現役。日本では、松本清張、横溝正史。ミステリーファンなら必ず読まなければならない必須科目、教科書に載っている人たちというイメージです。

  もちろん、ここで挙げた人たちの作品は今読んでも面白いことは間違いありません。ただ時の流れは感じます。どうしても、昔の名作を読んでいるという感覚になります。

  星新一作品はショートショートファンにとっては必須科目ではありますが、教科書というより現代の必須知識といったほうがしっくりきます。ミステリーには過去の名作と比較できる現代のミステリーがありますが、ショートショートは今でも星新一作品が現在なのですから。

何故、星作品は新鮮さを失わないのか?

 星新一氏は、「時代が変わっても違和感なく読める」ことにこだわって執筆していたことが知られています。時代を感じさせる設定や時代を感じさせる表現を使わない、など例を挙げて説明されてもいます。ここでは、そんな例は挙げません。下手に例示すると「何だ、そんなことか?」と思われてしまいそうな気がするからです。

 ちょっとした言葉の選び方まで細心の注意をはらい、いつ読んでも現在の話のように読めるように仕上げるなんてことは、普通できません。星さんはそれをやってのけているのです。

 比喩表現や台詞の口調(しゃべり方)は、時代によって変わりやすいものです。ですから、星さんはこれらの道具を封印し、ごく普通の言葉だけを使い、台詞で感情を表すことをしない、という制約下で傑作を産み出してきたのです。これだけではありません。おそらく、私なんぞが想像もできないような制限を自分に課していたはずです。そんな人が今後誕生するのでしょうか。

 そう考えると、星作品を更に進化させたショートショートが産まれてこないことも仕方ないのかもしれません。日本のショートショート界は、黎明期に絶頂を迎えてしまったのです。果たしてこれが、良いことなのか悪いことなのか……。

 個人的には「星新一は過去の人」と言えるような新しいショートショートが数多く出てくることを望んでいます。できれば私が生きてるうちに。
――無理かな。

まとめ

 星新一はやっぱりすごい!

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真坂まえぞう

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