ちょこっとのヒマツブシ/ショートショート略して「ちょこヒマ」

ユーモアショートショートはいかがですか?過去作品のリライトから新作まで色とりどりのショートストーリーをお届けします。

久しぶりに星新一「ボッコちゃん」を読んでみた。

time 2015/12/19

久しぶりに星新一「ボッコちゃん」を読んでみた。

 自分がショートショートを書き始めてからは、星新一作品を敢えて読まないようにしてきました。すぐに影響されて、星新一の超劣化コピーを書いてしまいそうな気がしていたからです。

 でも、「色褪せない星新一ワールド!時代を見ると本当の凄さがわかる」というコラムの中で、「もし星作品を読んだことがない人に一冊薦めるとしたら私は「ボッコちゃん」を選びます」と書いたので、自分の記憶を確認するため(最近、記憶力に自信がなくなってます)本棚から引っ張り出してきました。10年以上は読んでいません。

 安心しました。まだ少しは記憶力が残っていました。

久しぶりに読んだ感想

 以前と違いショートショートを書く側の視点で読んでしまいました。これは想定内です。ただ、作者の立場で読むことで自信が木端微塵に吹き飛ばされ敗北感に打ちのめされることを心配していたのですが、それは大丈夫でした。

 星さんの作品が大したことなかったという意味ではありません。手が届かないところにいることがはっきりわかっただけです。当たり前のことですが。まあ相手が神様なら、負けても敗北感など感じるはずがありません。

 まず第一話の「悪魔」を読んだ時点で、雲の上の存在だという当前のことを再認識。「素直に人間のいうことを聞く悪魔」このアイデアだけで一本です。それをこれほど巧みに展開させて、興味を膨らませていく、ノックアウトされました。そしてラスト。読者の想像から少しずらすことで生まれるこの余韻。私が作者なら「傑作ができた」と思うレベルから更に5重くらいアイデアを重ね、それを当たり前のように淡々と表現していく、やっぱり神です。

 これで、完全に覚悟ができたところで、「ボッコちゃん」「おーい でてこーい」と続きます。ショートショート史に永遠に残るであろう2作品。久しぶりに読んで自分なりに新たに感じるところがあったのですが、言葉では表現できませんし、真似もできません。野暮な解説など邪魔なだけです。元々大傑作と思っていたものが、作者目線で見直すと思っていた以上だった、言えることはこれだけです。

 もう自信が崩れる心配はなくなったので、後は一気に最後まで。作者目線で上手すぎると思いながら、読者目線で面白すぎると思う、ダブルの楽しさ。

 ただ、「親善キッス」これだけは、最初から完全な作者目線で読みました。話の展開もラストも完璧に覚えているつもりだったので、細かいテクニックに注意しながら読み進め、何か盗めるものはないかと……。ダメでした。ため息しか出ません。

 

「ボッコちゃん」を読んだことがない人、あなたは人生を損してます。

 騙されたと思って読んでみて下さい。

 以前の記事で書いた『もし星作品を読んだことがない人に一冊薦めるとしたら私は「ボッコちゃん」を選びます』という表現は、まだまだあまかったようです。

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真坂まえぞう

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