2016/02/11

新人類
(くそー、こんな山の中まで追ってくるなんて。なんて奴らだ)
俺は偶然見つけた洞窟の中で、声を潜めて隠れていた。外から奴らの声が聞こえる。少しずつ、こちらに近づいているようだ。
(まだ生き延びている仲間は、いるのだろうか? もしかしたら俺が最後のひとりなのかもしれない)
奴ら、新人類は手を緩めることを知らない。我々は、新人類たちとの共存の方法を必死で探った。しかし、同じ世界で新旧の人類が共存することなど所詮無理だったのかもしれない。我々と新人類では、考え方や感覚があまりにもかけ離れていた。我々は新人類たちの考え方が全く理解できない。多分、新人類から見ると我々の考え方は理解できない筈だ。
新人類たちは我々に比べて華奢な体型をしている。単純な力では、我々の方が強いだろう。しかし奴らは、敏捷で、狡猾で、そして信じられないほど好戦的なのだ。我々では思いもよらない武器や戦法を使う。俺たち旧人類は次々と殺されていった。今では、絶滅寸前だ。
「見つけたぞ! この中だ!」
どうやら見つかったようだ。こうなったら観念するしかない。残念ながら俺たちの負けだ。世の中は、この好戦的な新人類のものとなってしまう。
俺は、新人類に殺され、地球は新人類たちのものになってしまった。
それから長い年月を経た後、新人類たちは自らが滅ぼした旧人類の化石を発見し、こう名付けた。
『ホモ・ネアンデルタレンシス(ネアンデルタール人)』
了
うーん、この話どうなんだろう。読んだ人がどう感じるか、ここまで読めない話は他にありません。あとがきも何と書いてよいのやら……
電子書籍「ちょこっとのヒマツブシ【きのこ】」 掲載作品