ちょこっとのヒマツブシ/ショートショート略して「ちょこヒマ」

ユーモアショートショートはいかがですか?過去作品のリライトから新作まで色とりどりのショートストーリーをお届けします。

ショートショートストーリー「裸の小説」

time 2016/01/03

ショートショートストーリー「裸の小説」

裸の小説

 

 僕はショートショートを書いてインターネットで公開している。ちょっとしたいたずら心でこんな文章を投稿してみた。

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 すごい作品ができました。ショートショートの革命と言ってもいい出来です。もちろん最高傑作です。ただ、少しオチが難しいので、頭の回転が鈍い人には理解できないかもしれません。そのため、頭の鈍い人には見えない文字設定で公開します。読める方だけお読みください。それでは、どうぞ。

 

 

 

 

 いかがでしょうか? この斬新なオチ、きっと気に入って貰えるものと思います。コメント頂ければ幸いです。

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 言うまでもないが、頭が良くないと読めない文字設定などない。ただの空白だ。どんな反応が来るか気になる。
 すぐに、コメントが返ってきた。

〔コメント〕Aさん
 読めました。本当に素晴らしい作品ですね。感心しました。

(いるんだよな。読める振りをするやつ。頭の良い人しか読めない文字なんてあるわけないじゃないか。裸の王様の話、知らないんだろうか?)

〔コメント〕Bさん
 最高に面白いです。ミドリさんが死神に気付くところでは思わず声を上げてしまいました。

(ミドリさん? 死神? なんだそれ?)

〔コメント〕Cさん
 本当に革命的ですね。ミドリさんが貧血で倒れるところ――これがラストへの伏線になっているとは思いませんでした。

(また、ミドリさん? どういうことだ?)

〔コメント〕Dさん
 凄い! こんな話を思いつくなんて。ラストは本当に衝撃的。ミドリさん幸せに……。

〔コメント〕Eさん
 アンビリーバブル! ミドリさんにあんな過去があったなんて……。

〔コメント〕Fさん
 文句なしに面白い。ミドリさん最高!

(何なんだ? 本当に読めるのか? ミドリさん、これが主人公なんだろうか。一体どんな話なんだ。読んでみたい……。俺は作者のはずだ。作者が読めないなんて、そんなことがあっていいのだろうか?)

 それからもコメントは続いた。全て絶賛の声。口コミで凄い勢いで広まったみたいだ。マスコミにも取り上げられ社会現象にまでなった。

(まさか作者が話を読めないなんて言いだせない……。ミドリさんってどんな人なんだ? 俺は一体どんな話を書いたんだ? 誰か教えてくれー)

 遂に”ミドリさん”は、流行語大賞を受賞した。その受賞式、作者であるはずの俺はインタビューを受けた。

「こんな凄い話、どうやって思いついたのですか?」

「え、あのー、風呂に入ってるときにふと……」

「日本中でミドリさんのことを知らない人はいないというほどの大流行ですが、気分はいかがですか?」

「え……その……、複雑な気分です。それに……」

「それに?」

「日本中でミドリさんを知らない人はいないというのは、言い過ぎではないでしょうか……」

 

 

あとがき
 以前ブログでショートショートを発表していた頃、同じようにショートショートを書いている人たちと交流が多かったこともあり「ショートショート書き」をテーマにした作品も多く書いていました。「SS maker」もそうなんですが、この作品もそのひとつです。

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真坂まえぞう

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